2024年秋 オススメの大型展覧会 気韻生動に溢れるイタリア<br> | ワーキングホリデー通信
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2024年秋 オススメの大型展覧会 気韻生動に溢れるイタリア


【写真:ミラノで開催中の
異邦人としてのピカソ展 】

芸術の秋到来ということで,イタリアでは各地で大型展覧会が開催中です.そのうちの4つをご紹介します.
まず,ミラノ王宮博物館では2025年2月2日まで,スペインの巨匠ピカソの新たな一面を明らかにする展覧会『異邦人としてのピカソ』展.芸術家ピカソと彼が成長した国であるフランスとの複雑な関係に焦点をあてた珍しい企画です.


1881年にマラガで生まれたピカソは,1904年にパリに移りましたが,常に外国人として暮らす難しさやフランスからの敵視の悩みなどを抱えて暮らしていました.そしてフランスはピカソに市民権を与えることはありませんでした.
彼の亡命が芸術家としてのアイデンティティをどのように形作ったのかを彼の作品を通じて示し,他者との関係というテーマについて鑑賞者に考えるよう促すというのが趣旨.

パリのピカソ美術館やヴァロリスのマグネッリ陶芸美術館などの協力により90点以上の作品が展示されており,そのうち40点はイタリア初展示だそうです.




【写真:印象派唯一の女性
ベルト.モリゾの展覧会】

次はトリノのGAM現代美術館で2025年3月9日まで開催中の『ベルト.モリゾ 印象派』展.
彼女は印象派の画家の中で,唯一の女性でした.絵画,素描,版画などを含む約50点の作品が展示されています.
ベルト.モリゾは印象派の運動の中心的な役割を果たしながらも,女性ということで,他の印象派画家たちよりも影が薄いのが残念でしたが,こうした彼女だけの展覧会が開催されることによって,今後さらに知名度を上げ,彼女の真の実力が再確認される機会になればいいなと思います.

彼女の作品の特徴としては,自然と現実の要素を優雅に表現していること,また存在の脆弱や瞬間の不安定さを敏感に捉えていること.また,トリノのみならず,ジェノヴァでもベルト.モリゾの展覧会が開催されていますので,興味ある方は是非そちらにも足を運んでみてください.




【写真:イタリアでも大人気の北斎展】

3つ目はピサのパラッツォ.ブルーで2025年2月23日まで開催中の『北斎』展です.
これまでにイタリアで展示されたことのない傑作を含む200点以上の作品が展示されるそうで,イタリアの日本ファンを喜ばせています.風変わりで多面的な芸術家である葛飾北斎は,伝統的な日本画と西洋美術の技術を組み合わせて,自然,日常生活,そして当時の社会のさまざまな側面を独創的に描いたことで有名.

もちろん世界で一番有名な波といっても過言ではない『神奈川沖浪裏』(イタリアでは『La grande onda di Hokusai/北斎の波』と呼ばれています)も展示されます.




【写真:丸いフォルムが憎めないボテロ展】

最後は,最近亡くなったコロンビア人アーティスト『フェルナンド.ボテロ』に捧げられた回顧展が,ローマのパラッツォ.ボナパルトで2025年1月10日まで開催です.
彼の絵画,水彩画,彫刻,いくつかの未発表作品が,これまでローマで開催された中で最も完成度の高い展覧会として展示されているのだとか.ボテロの作品の特徴は,女性的な世界の「贅沢な丸み」の表現と,立体的な効果に派手な色で表現されていることでしょうか.

他にもベラスケスやラファエロのフォルナリーナ,ピエロ.デッラ.フランチェスカの有名なモンテフェルトロの二連祭壇画,ルーベンスやファン.エイクの肖像画など,美術史に残る傑作バージョンにも事欠きません.また,サーカスや闘牛などのテーマも有名です.
ローマにいらっしゃる際には是非チェックしてみてください.



2024/11/05(火) Maliarda
No.7013 (イタリア)

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